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クラシックコースホーム > 2014年マスターズトーナメント&USオープン コース視察レポート

UStour CourseReport USツアー コースリポート

USメジャーツアー コースレポートVol.2

2014 U.S オープン チャンピオンシップ パインハーストNo.2コースコース管理ディレクター 沖 芳典

前号に引き続きU.Sツアーリポートです。今回はパインハーストゴルフリゾートについてお話させていただきます。
6/12~15日に開催されるU.Sオープンの開催地、ノースカロライナ州にあるパインハーストゴルフリゾートでプレーする機会をいただきました。オーガスタのあるジョージア州から北東に車で約4時間に位置するパインハーストリゾートは、ぺブルビーチと並びアメリカを代表する素晴らしいコースです。壮大な規模で歴史を感じさせるコースは、全144ホール(8つのコース)を有しており、古き良きアメリカの伝統を守り続ける趣が感じられます。

  • 今年は、U.Sオープンの翌週にU.S女子オープンが開催されるとゆう前例のない大会となります。2週連続での同会場開催は、運営費用の大幅な削減など大きく影響されます。今まで観た事のない異例な大会だけにセッティングなど非常に楽しみです。
    8つのコースは様々な特徴があります。距離やハザード、アップダウンのタフさなど難易度の違いは勿論ですが、長い年月を得て増設されていったコースは、その時代のトレンドや拘りが強く感じられます。自然をそのまま生かしたコース、造形美のデザインを追求したコース、様々です。一番の人気でありU.Sオープンが開催されるNo.2コースと1996年にオープンした、中でも最も新しいNo.8コースをプレーさせていただきました。メジャー大会の開催地であるNo.2コースは自然体のまま、オーガスタナショナルGCと全く対照的なコースだなと最初に感じ、貫禄のある佇まいとゆうか強烈な威圧感は今でも頭から離れません。

  • かつての偉大な設計家ドナルド・ロスは本当の素晴らしいコースには、派手さや綺麗さなどは必要ないとゆう考えだったそうです。ロスの最高傑作とされるNo.2コースはまさにその代表作でしょう。まず最初、ティに立って一番圧倒されたのはラフが無い事です。芝はなく、下地の砂質のままであり雑草が多く、まさに自然体そのものでした。シーサイドコースの様な眺望もなければクリークや人工的な池や滝もない…変哲のないコースなのに退屈さが感じらないのです。

  • ラフにはバランス良い間隔で株化した芝(フェスク系)が植え付けてありました。等間隔であることから、人工的に植してあるものとわかりました。が、違和感が全くない上、ボールのロストや打ちにくささえも感じられませんでした。むしろ、斬新なセンスが取り入れられた美だなと強く感じました。私自身今までのコース創りの中では考えたことのない現実であり、蔓延る雑草に処理を施さないなど、想像したこともありません。自然美を追求した技術なのか、あるいは管理費用の削減なのかは分かりかねますが、いずれにしても最高の演出だと感じられ、絶対真似したい!とゆう好奇心に駆られました。長年経過した今もなお、設計家の意図した造形美が引き継がれている事にも驚きです。プレースタイルや経営コンセプトの違いもあり、日本での大胆な試みは厳しいかもしれませんが、部分的な個所など小規模であれば、取入れは可能かもしれませんね。


グリーンの芝創りは少々粗目に感じます。比較的密度も薄く、目で見る美しさはあまりえら得られませんでした。基本的に西洋のグリーンはポアナ(スズメノカタビラ)との共生が多いと言われています。あのぺブルビーチのグリーンでも大半はカタビラだという話です。私自身実際見た事はありませんが…。ロサンゼルスにあるリビエラカントリークラブもほぼカタビラのグリーンでした。住宅地に造られてある為、除草剤など農薬の使用に制限があり、対処が厳しいと聞いた事があります。カタビラの繁殖が旺盛すぎて、グリーン内での含有率がベント芝より勝ってしまう現状は普通に考えられます。よって共生はやむを得ない現実であるということになりますが、後には、逆にカタビラで完璧なグリーンを創るといった斬新な思考があるかもしれません。

  • カタビラでもグリーンとして成り立つと思いますが、懸念としてはスムースな転がり、見た目の綺麗さの確保でしょうか…春季には白い穂が出てしまい、幾ら低く刈り込んでも出穂を抑制する事は厳しいでしょう。当然パッティングクオリティの維持も問題になってきます。見た目もまだら模様が目に付きますし…夏季になり気温が上昇すると一部枯れてしまったりするなど、通年でのベストコンディション維持は厳しいでしょう。話はそれましたが、パインハーストNo.2コースのグリーンにカタビラは殆どありません。ベントの品種までは分かりませんでしたが、スピードとファームネス(硬さ)はマスターズトーナメントと同様素晴らしいものでした。

”硬く止まらないグリーン”は西洋トーナメントの最も重要とする部分かもしれません。アンジュレーション(起伏)の激しさも相当なもので、オーガスタナショナルGCを上回る傾斜ではないかと感じました。ガードバンカーの配置も絶妙で、ゲーム戦略を悩ます創りになっています。砲台グリーンに近い形状のグリーンは、グリーン外周部分の肩が極端に下がった傾斜になっており、ガードバンカーに吸い込まれたりなどショートゲームの正確性が追求される非常に難易度の高い設計になっています。

約一週間のアメリカ研修は、私自身にとってかけがえのない経験を得る事ができました。憧れとするメンテナンスの代表地であるオーガスタナショナルゴルフクラブ、自然体からの造形美を魅了させるパインハーストゴルフリゾート。対照的な2つのコースから感銘を受けた現実は、決して忘れる事のできない財産であると感じています。観る者の心を奪う程のとことんなパフォーマンスと拘り、柔軟性の長けた斬新な発想、取り入れたいは現実は山程あります。プレーヤーの皆様に、コースという商品を提供させていただく立場である事を深く肝に銘じ、今後のコース創りに更に磨きをかけ励んで行きたいと思っています。

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