NIDOM GROUP
ニドムトップ
ホテルニドム
石の教会・森の教会
ニドムクラシックコース

クラシックコースホーム > 2014年マスターズトーナメント&USオープン コース視察レポート

UStour CourseReport USツアー コースリポート

USメジャーツアー コースレポートVol.1

2014マスターズトーナメントコース管理ディレクター 沖 芳典

4/10~13日に開催されたマスターズトーナメントの開催地、ジョージア州にあるオーガスタナショナルGCに訪れてきました。
9日の練習ラウンド、10日の予選初日を今回の研修期間とさせて頂きましたが、最初にコース内に足を踏み入れた時の劇的な景観美には心を奪われました。

日本で開催されるトーナメントに幾度か携わってきた私ですが、エンターテイメント力の凄さは群を抜いて圧巻です。
環境条件や豊富な設備…日本と違いはあるものの、ディティールな部分まで行き届いた手入れは見事です。
ため息が出るほどに美しい…”見る者の心を魅了する”とはまさにこのマスターズのことでしょう!

本業のメンテナンスを中心としたお話をさせて頂きたいと思います。まず気候ですが、4月上旬にもかかわらず日中最高気温は26~28℃と暖かく、最低気温は8~10℃と魅力的な寒暖差があります。日本の5月末くらいの気候でしょうか…。
ベント芝など洋芝の生育においてはこの寒暖差が最高に適しており、まさにベストシーズンです。さすがプライベートクラブのトーナメントという拘りが感じられます。

  • グリーンの草種はニューベントといわれるペンA1、A2の混種と言われています(※正確な事実はわかりません、あまり外部に情報を提供しないみたいなので…)スピード(転がり)、ファームネス(硬さ)に定評のあるグリーンですが、パッティングクオリティはやはり素晴らしいものと感じました。ただ、アンジュレーション(傾斜)が尋常じゃなく、そうとう難易度の高いセッティングであることは間違いありません。ここまでハードな創りのグリーンとなると、日本ではなかなか見られないでしょう。

  • 午後から翌日のセッティング準備を行う為、刈り込みや散水、ピッチマークの修復を行います。こういった作業の全ては、日本のトーナメントでも同様に行われます。グリーンの刈り込みは繊細な技術が必要とされ、スピードを追求する為に芝の刈り込みの高さはより低く設定されます。自ずとオペレーターも慎重な面持ちになり、通常に比べより丁寧な作業スタイルになります。

キーパーの頃を思い出しながらメンテナンス作業を一時拝見していました。意外にも作業スタイルは少々荒めな感じです。
繊細さ加減でいえば職人気質の強い日本人の方が勝っていると言えるでしょう。
スルーザグリーンの作業。特に見習いたいのは芝の刈り方です。フェアウェイですが、12台の刈り込み機械が等間隔で横並びの行列をつくり刈り込んで行きます。Per3以外全てのホールを、グリーン側からティグランド側に向けて刈り込んで行きます。フェアウェイ全てがグリーンに向けて逆目となり、クラブの抜けが悪くなるなど難易度の増したセッティングとしています。

  • 日本での刈り方はゼブラカットかクロスカットが主流となっていますが、フェアなセッティングとしてはどうでしょうか…?確かにゼブラカットやクロスカットは明暗が鮮明であり、美しい景観を楽しむには申し分ありません。しかし順目と逆目が隣接されている事など、フェアなセッティングとして考慮すれば矛盾な部分があるのではないかと考えます。マスターズの明確なコンセプトは私自身も未知な部分ですが、おそらくは前文に述べたとおりの目的ではないかと思います。あとは、刈り方に芸術的なメンテナンスパフォーマンスも加味されているのでしょう。マスターズのフェアウェイの刈り込みスタイルは日本でも有名且つ、憧れです。私自身もトーナメントで8台の刈り込み機械を用意し、マスターズの真似をした事があります(笑)

  • 夕暮れ時になるとパトロンも立ち止りカメラを手にします。夕日を背景にした映像は鳥肌が立ちます。まさに機械のパレードです。目の前を通る刈り込機械にパトロンは拍手喝采を浴びせる…その姿にもまた感動です。
    ラフの細部な箇所の刈り込み。メンテナンススタッフは、他クラブからの応援スタッフ、ボランティアを得て総勢100人以上の態勢で仕上げて行くそうです。メンテナンスの担当作業や担当ホールも定められており、手際のよいルーティンワークを実践していました。全てにおいてマスターズのメンテナンスは憧れです。私自身も一度ボランティアとして携わってみたいと思っています。

メンテナンス以外にも流石だと感じた事がいくつかあります。ギャラリーをパトロンと呼ぶこと。パトロンには後援者という意味があり、”観に来る人も仲間であり支援する人”という意味が込められていると言います。入場料が賞金に加算されることからの理由もあるみたいですが、気品を重んじるマスターズトーナメントはやはり別格です。
また、1日3万人近くのパトロンが来場し、いたるところで飲食を行うにもかかわらずゴミの投棄が全くありません。これもオーガスタならではのパトロンのマナーでしょうか。上品さの揺るがないパトロンのスタイルにも素晴らしさを感じます。
今回、このマスターズトーナメントであらゆる面においての拘りに感銘を受けました。目に焼き付けた劇的な感動と映像を、今後のコース改革に取り入れていけたらと思っています。

次回は、6月に開催されるU.Sオープンの開催地パインハーストNo.2コースについてお話したいと思います。

コースレポート

→Vol.2

→Vol.1